POLICY SPEECH
理事長所信
第48代理事長
関根 憲一
私が東南アジアを旅していた時のことです。東南アジアで片足のない1 人のストリートチルドレンと出会いました。片足がなければ、同情を買うことができ、お金を恵んでもらえる機会が増えるとの理由で、親に片足を切断されていたのです。衝撃的な現実でした。小さな右手にお金を渡すことが正解なのか分からずに、代わりに瓶のコカ・コーラを差し出し会話を始めました。すると、少年の口からは多くの夢の話が出てきたのです。目がキラキラと輝いていて沢山の夢を語ってくれました。生まれた境遇を世の中のせいにするのではなく、生まれ育った故郷を誇りに思い、誰のせいにするのでもなく自分の人生に立ち向かい、自分の思いに素直に生きていたのです。私はこんな子に誇りや夢があるはずがない、不幸で可哀そうという偏見を持っていました。
帰国後は、日々の仕事に追われ過ごす中で、その少年との記憶は心の奥底にしまわれていました。ありふれた生活の中で、2018 年に久喜青年会議所との出会いがあり、入会することになりました。入会した動機も漠然で、ただ仲間と楽しく過ごす日々を送っていました。
私自身が忙しさに追われる中、2022 年に久喜青年会議所が創立から45 周年という節目の年を迎えました。記念式典にご臨席していただいた当時の日本青年会議所の会頭から、「久喜青年会議所のような会議所が増えれば、全国の青年会議所も、もっと良くなりますね」とのお言葉を頂いたのです。会員全員で成功させてやるのだという強い思いを持ち、大きな挑戦を成し遂げてきた我々の運動を認めて頂くこととなりました。日本青年会議所の会頭の言葉を聞いたとき、胸が熱くなり、何が正解なのか分からずに取り組んできた、自身の活動に誇りを持てるきっかけとなりました。
多くの人たちは、自分のまちに誇りを持てずに、このまちを良くしたいという気持ちを心の中にしまい込んで、誰かが何とかしてくれるだろうという無関心な空気が広がっています。自分自身がよければそれで満足でしょうか。自分の家族だけ幸せであればそれで良いのでしょうか。このような考えが蔓延する地域では、明るい未来の展望を描くことはできません。まずは、JAYCEE が地域のことを真剣に考え、活動に誇りを持ち、どんな困難にも諦めることなく挑戦していきます。そして、私たちは活動を通じてこの思いを広め、このまちを誇りにもてる人々を増やしていくことを目指します。
私たちは、地域社会から信頼され、会員が誇りを持てるように、公正で公平な組織運営に努めてきました。また、デジタル技術を活用して、効率的かつ効果的な運営も行ってきました。青年会議所は、会議を通じて事業を構築する組織ですが、会議自体が目的になってしまうことが見受けられます。そのため、現状に合わせて、柔軟に人や組織に合った会議のあり方に進化させることが重要です。これにより、時間の有効活用、理事メンバーの権利の尊重、責任を重視した運営を目指します。
私たちは、過去の経験だけに頼らず、この地域をより良くする事業を常に考えながら、理事会メンバーそれぞれの素直な意見を大切にする会議のスタイルを築いていく必要があります。青年会議所とはこうでなければいけないという過去の固定概念にこだわらずに、自分の素直な意見に誇りを持ち、積極的に会議に参加することが重要です。この姿勢が、組織や地域の成長に繋がる会議を生み出します。まずは、理事メンバー全員が事前に議案書をしっかり読み込み、会議の効率を高め、時間を有効に使える会議にしていきます。また、議案を提出する側も内容を十分に理解していない場合、それは組織全体の問題となります。意見を述べる側も責任を持つことが求められ、組織として個人の権利を尊重しつつ、全員が責任を共有する会議を目指します。さらに、今年度は事前意見シートを改善し、理事会での責任をしっかりと果たせるようにします。また、議案書マニュアルと併せて「会議のルール」を明確にし、会議の効率化を進めていきます。
本年も引き続きブラッシュアップミーティングを行います。特に委員長同士のつながりをより強化することに力を入れていきます。他の委員会の活動がスムーズに進むよう、自分のこととして捉え、他委員会の議案書にも真剣に向き合い、委員会の枠を越えた仲間意識を大切にしながら事業構築を目指します。また、財務面や企画内容の細部の確認も徹底して行ってまいります。
青年会議所での活動において、活動の目的がはっきりと分からず、何のために取り組んでいるのかが明確でないまま参加している会員が見受けられます。この状況は、会員一人ひとりにとって活動への意欲や満足感を低下させる要因となっています。しかし、問題の本質は個人にあるのではなく、そのような状況を生み出している環境にあります。この環境が、一人ひとりの能力を十分に発揮できない要因となっています。
組織力とは、組織がその目的を達成するために必要な資源や能力を最大限に引き出し、効果的に活用できる力を指します。まずは、活動の目的やビジョンを全会員に明確に伝え、共通理解を促進することが重要です。また、会員同士の協力を促進することで、自分の貢献を実感できる環境を整えます。そして、会員が協力し合い、互いの強みを生かすことにより、個人の力を超えた成果を上げることが可能となります。さらに、活動への意欲が向上し、組織全体の活性化につながります。組織力を向上させ、すべての会員が充実感を持って活動できる環境を目指していきます。
現在、総会が何であるかを理解せず、ただ義務感から行っている状況があります。ただ義務感で行うのではなく、これまで通り久喜青年会議所が大切にしてきたスタイルを維持しつつ、参加者が飽きない工夫をします。また、久喜らしい特色を活かし、参加者が意義を感じられる総会を実施します。
広報は青年会議所の運動そのものであり、非常に重要な役割を担っています。しかし、これまでの広報活動は、会員拡大運動のように、会員数の減少により地域にインパクトある事業ができなくなるという課題とは異なり、直接的な成果が見えにくい傾向にあります。そのため、活動の中でも優先順位が低くなりがちです。認知されていないということは、存在していないことと同じです。会員が広報の重要性を理解し、それを自分ごととして捉える必要があります。
まずは、広報活動の重要性を理解するには、スキルと知識が不可欠です。また、会員が広報の基本的な技術や戦略を学び、その意義や方法を理解することが求められます。そして、広報活動を組織のためだけでなく、自分自身のキャリアアップの機会として捉えることで、広報の活動の質が向上し、組織全体にも大きな成果をもたらします。さらに、広報が組織にとって重要であることを全員が認識できれば、活動の優先順位が上がり、より効果的な広報が実現できるようになります。
我々は、市民の皆さんに関心を引く情報を届けられているでしょうか。効果的な広報活動は、久喜青年会議所を市民の方々に、身近な存在として認識してもらうための鍵となります。これまで、私たちは地域の社会問題に取り組むため、多様な活動を展開してきました。しかし、過去の調査結果によれば、久喜青年会議所やその活動についての認知度は依然として低い状況です。この認知度の低さを解消するためには、より多くの市民と繋がりを持つ必要があります。そして、市民との繋がりを強化し、久喜青年会議所の活動を広く知っていただくことで、より多くのサポートと関心を得られるようにしていく必要があります。
広報活動の手法を見直し、新たなアプローチに挑戦することが求められています。私たちの活動を中心とした広報から、周囲の企業や団体を応援する形の広報へとシフトしていく必要があります。このように周囲を応援する広報に転換することで、様々な人たちと繋がり、久喜青年会議所が周囲の団体から広報されるようになります。優れた事業を継続することはもちろんですが、繋がりを意識した広報活動を行うべきです。
日常の広報活動では、これまで使用してきたInstagram を強化し、フォロワー数を前年比で700 人増加させることを目指します。特に動画投稿を増やすことでフォロワーの関心を引き、より多くの人々にアプローチしていきます。また、ターゲットを明確にして取り組むためにも、久喜市のフォロワー数55%増加も目指します。そして、例会に関するアンケートでは、事業を担当する委員会と連携し、つながる広報委員会が管理と集計を行います。メディア関係者にも積極的に声をかけ、例会での直接的な接触の機会を増やすことで、取材や報道に繋げる可能性を高めていきます。さらに、定期的に誰もが興味を持つ対内向けのデジタルフライヤーを発行し、新入会員の情報や例会の概要を発信することで、対内広報の強化を図っていきます。
私たちの地域でも、医療技術の進歩や生活環境の改善により、平均寿命は大幅に延びています。しかし、その一方で幅広い世代における心身の健康を維持することが新たな課題となっています。現代の生活環境では、テクノロジーの発展やデジタル機器の普及により、年齢に関わらず多くの人々が運動する機会が減少していることが問題です。日常生活で身体を動かす時間が減ることで、身体的な健康だけでなく、精神的な健康にも悪影響を及ぼしています。日常的な運動習慣を身につけることは、生活習慣病の予防や心身の健やかな成長、そして豊かな生活のために不可欠です。この課題に対して、地域全体での取り組みが求められています。
まずは、地域社会全体で運動の機会を提供する取り組みが重要です。私たちの事業では、地域の人たちに健康を促進し、身体的および精神的な健康を維持・向上させるための機会を提供します。また、参加者に運動の大切さを感じてもらい、地域のつながりを強めることを目指します。そして、この取り組みは地域全体の活力を引き出し、地域の活性化にも寄与することができます。運動の機会を提供することは、単に健康を促進するだけでなく、地域の連帯感を深め、コミュニティの活力を高めるための重要な要素となります。この取り組みを積極的に進めることで、地域全体の絆を強めていきます。
我々の地域は、東京への便利な交通網や道路を基盤にした住宅開発が進み、ベッドタウンとして成長してきました。移住者も増え、住みやすい地域として発展しています。しかし、地域には多くの魅力があるにもかかわらず、それを発信し、活かそうとする人が少ないのが現状です。人々が求めているのは「住みやすさ」であり、地域の魅力そのものに対する関心が薄れている傾向があります。そのため、地域の魅力を市民にもっと理解してもらい、誇りに思ってもらうことが必要です。
まずは、地域の魅力を再発見し、その価値をさらに引き出しながら、互いのつながりを深める事業を実施します。特に、地元の農産物や農業の伝統に焦点を当て、地域で生産された魅力に触れる機会を提供することで、地域の豊かさを感じてもらいます。また、新たな視点からその魅力を捉え直し、市民が自分たちの住む地域に誇りを持てるようにすることを目指します。地域の人々が集まり、魅力を楽しみながら交流を深められる場を設けることで、地域の価値を再認識し合う機会を増やします。そして、この事業を通じて、地域のつながりを強固にし、市民が自信を持って地域の魅力を他者に伝えられるようにします。さらに、地域の魅力を広く発信し、地域全体の発展と成長に貢献していくことを目指しています。
近年、少子化や核家族化が進む中で、子どもたちの社会的なつながりが希薄化しています。家庭内での交流が減少し、地域とのつながりも弱まる中で、孤立感を抱える子どもが増加しています。さらに、テクノロジーの普及により、子どもたちが直接的なコミュニケーションを行う機会が減少していると考えられています。スマートフォンやゲームの利用が増え、人間関係や対話を通じたコミュニケーションスキルの低下が懸念されています。この問題が子どもの健全な成長に悪影響を与える可能性が指摘されています。
まずは、地域全体で積極的に関わりを強化し、コミュニティ形成を促進する取り組みが重要です。地域全体を巻き込んだ交流事業を開催することで、子どもたちが直接的なコミュニケーションを行う機会を提供します。子どもたちと大人、様々な人々が交流できる場を提供することで、地域の一体感を高めます。これにより、子どもたちは他者と協力し、対話する機会が増え、社会性やコミュニケーションスキルが育まれます。さらに、地域の人たちと交流を持つことは、子どもたちにとって多様な価値観や経験に触れる貴重な機会となります。地域全体で協力し合うことで、子どもたちは自分たちが地域の一員であるという自覚を深め、社会とのつながりを実感することで、このまちを誇りに思えるようになります。
現代の子どもたちは、デジタル化の進展に伴い、実際に体験する機会が減っていると指摘されています。デジタル機器の使用が増え、屋外で遊ぶ時間が少なくなっています。また、防犯上の理由や家庭内の変化も影響し、外で遊ぶ機会がさらに減少しています。これにより、子どもたちの体験の幅が狭まり、日常生活や自然の中での経験が減少しています。そして、成功体験や達成感を得る機会が減ると、自信や自分の能力、価値を信じる力が育ちにくくなります。
日常生活では得られない体験は、子どもたちの成長にとって非常に重要です。こうした体験を通じて得られる経験や感情は、子どもたちにとって貴重な資源となり、成長に必要な力を育む助けとなります。子どもたちが挑戦し、過酷な経験を通じて限界を超えることで、大きな達成感を得ることができるのです。この達成感が、子どもたちに自分の力や価値を実感させ、夢をあきらめない強い心を育てます。また、大人に頼らずに自分自身で困難を解決する体験を通じて、子どもたちは問題解決能力や自信を身につけます。困難な状況を乗り越えることで得られる達成感は、さらなる自信を与え、自分の力を信じる強さを育てます。このような貴重な経験を積むことで、子どもたちは自分に誇りを持ち、自分の意志で人生の選択を決め、行動する力を養います。そして、より充実した人生を歩むための強固な基盤を築いていくのです。
会員拡大を行う上で、私たちに求められることは、自分自身の久喜青年会議所に対する誇りであり、その誇りをいかに入会候補者に伝えられるかという情熱です。一人でも多くの青年を入会に導くためには、全員が組織に対する誇りを持ち、魅力を素直に入会候補者に伝えることが必要です。
まずは、自分がどのように変わり、どのような考えを持つようになったのかをしっかりと理解することで、青年会議所の魅力を具体的かつ説得力のある形で入会候補者に伝えることができます。それが、青年会議所の価値を伝えるための基盤となります。また、そうした個人的な変化を示すことで、他の会員や新たな入会者にも、単なる知識やスキルの習得を超えた成長や影響を感じられる魅力的な組織であることが伝わり、共感を得やすくなります。そして、仲間と意見を交わすことで、青年会議所に対する新たな魅力の発見をすることができます。さらに、「青年会議所って素晴らしい団体です」と、誇りを持って素直にその魅力を伝えることで、量だけでなく質の高い拡大活動を実現していきます。
久喜青年会議所の先輩諸氏は、卒業後も地域のリーダーとして活躍し続けています。青年会議所の会員数が減少することは、地域でのリーダーの数が減ることを意味し、地域社会の発展に影響を与えます。会員の拡大はその人のためにと言われてきましたが、このまちのためにも必ず必要な運動です。
青年会議所は、青年にリーダーシップの開発と成長の機会を提供することを使命とし、多くのリーダーを育成しながら運動を展開してきました。まだ出会ったことのない才能を持つ青年を巻き込むことで、単に活動を拡大するだけでなく、さまざまな価値観や多様性を取り入れ、運動の質を向上していきます。そして、新しい会員を迎え入れることで、地域で積極的に行動できるリーダーが増え、この地域の活性化と発展に寄与することが可能となります。
今年度は、会員一人ひとりの取り組みを評価し、表彰する新しい制度を導入することで、拡大活動への意欲を高めることを目指していきます。入会候補者には年間4 回、青年会議所の活動を実際に体験できる例会にメンバー目線で参加してもらい、活動の規模やメリットを直接感じてもらいます。また、例会での体験を通じて多くのメンバーと交流を深め、青年会議所を理解してもらうことで、入会への意欲を高めていきます。そして、「じゃがいもクラブ」や「オリエンテーションクラブ」などの事業に対しても積極的なアプローチを行い、すべての事業を会員拡大の機会と捉えて取り組みます。そして、入会者のスキル向上や退会防止に向け、フォローアップ担当者を新たに設置し、サポート体制を強化していきます。さらにオブザーバー情報の更新と共有を行い、全員で拡大活動に取り組んでいきます。
会員拡大活動は全員で取り組む重要な運動です。すべてのメンバーが誇りと責任を持ち、2 年後の50 周年に70 名以上のLOM を達成することを目指します。そして、影響力のある事業を展開するために、20 名の拡大を目指します。
私たちには、それぞれが抱く夢があります。大人になると、夢を持つことをどこかで諦めてしまっていませんか。子どもたちには「夢を持とう」と言いながら、現実の厳しさを理由に、自分の夢やワクワクすることを諦めてしまっている大人が多いのではないでしょうか。私たち大人こそ、夢を諦めずに挑戦し続けることが大切だと思います。私たちが挑戦する姿を子どもたちが見て、彼らも失敗を恐れずに挑戦し続けて成長していきます。
私が好きなリーダーは「海賊王になる」という途方もない夢を持っています。彼はどんな困難に直面しても決して諦めず、常に前に進み続けます。普段は何も考えていないように見えるリーダーかもしれませんが、彼が本当に大切にしているのは「仲間」です。自分が傷つけられることには寛大ですが、仲間が傷つけられたり、馬鹿にされたりすると、その怒りを力に変え、限界を超えて立ち向かっていきます。この強い絆と夢を共有する力が、強力なチームを作り上げています。
私たち青年会議所のメンバーも、一人ひとりが夢を持ち続けることが重要です。それぞれの夢と行動が相乗効果を生み出し、強固なチームを築いていきます。私たちは、地域に対する誇りを胸に、ともに挑戦し続けるチームとして成長し続けます。これこそが、私が目指す組織の姿です。
私自身、かつては日本やこのまちに誇りを感じることができず、変えられない現実に落胆していました。しかし、青年会議所の仲間たちとの出会いが、私の考えを変えてくれました。この仲間たちと活動を進める中で、私たちならこのまちをより良い方向へ変えていけるかもしれないという希望が、日を追うごとに増していきました。入会後も、多くの困難に直面しましたが、そのたびに支えてくれたのは信頼できる仲間たちでした。青年会議所での活動を通じて、自分自身も成長し、仲間に対する誇りを持つことができました。
今、私たちの組織は、それぞれが個性豊かなリーダーとしてともに挑戦し続けています。仲間たちが力を合わせ、地域を変えるために奮闘し、それぞれの強い意志が融合して、大きな力を発揮しています。私たちは単なる助け合いのチームワークを超え、お互いを高め合いながら挑戦し続け、地域の未来をともに築いていく組織を目指していきましょう。
大切なのは、自分自身と青年会議所に誇りを持ち続け、夢を諦めずに挑戦を続けることです。私たちが背中を見せることで、このまちの子どもたちも夢を追い、成長していきます。そして、私たち自身も無限の可能性を秘めた存在であり、未来のリーダーたちにとって、素晴らしい手本となることができます。
夢を追い続け、挑戦を恐れず、仲間とこのまちを明るく豊かにしていきましょう。