POLICY SPEECH
理事長所信
第49代理事長
乙黒 智
私は2018年にこの一般社団法人久喜青年会議所の門をたたきました。入会後は例会や委員会に対して、強い思い入れもなく、仲間とただ参加しているに過ぎませんでした。入会3年目に初めて委員長を受けましたが、与えられた役割をこなすことに精一杯で「この組織でどんな事業がやりたいのか」「この事業をやってこのまちにどんな変化があるか」という考えを抱くこともなく、日々の忙しさに追われておりました。2021年には、出向先で入会後初めて大きな事業を任されましたが、新型コロナウィルスの影響で事業規模を大幅に縮小せざるを得なくなり、多くの挫折と歯がゆさを経験しました。そして、自分の中で青年会議所活動へのモチベーションが徐々に低下していくのを感じておりました。
そんな私に転機が訪れたのは、創立45周年を記念して開催された「第52回埼玉ブロック大会久喜大会」です。そこで企画運営させていただいた「子ども食堂フェスタ」では、子ども食堂に飲食店として参加していただき、売上や寄付を通して、参加者に子ども食堂への理解を深め、支援につなげていく事業を行いました。連日委員会の仲間と県内各地の子ども食堂に出店依頼や事業説明に行き、この事業の必要性について情熱をもって伝えてまいりました。その結果、当日には埼玉県内から多額の寄付や支援品を募り、多くの子ども食堂関係者から「ありがとう」のお言葉をいただくことになりました。さらに、子ども食堂に是非ボランティアとして参加したいという来場者もおり、人手不足の子ども食堂に紹介した際には、この事業を通して最大級の感謝が生まれたのを目にしました。また、第52回埼玉ブロック大会久喜大会を通して、大会前後で久喜青年会議所の絆がより一層深まったと感じました。私自身も前年度思うようにいかないなか、仲間と共にこのまちを元気づける事業をつくりあげ、入会後初めて大きな達成感を得ることができました。そして、共に事業を作り上げた仲間に対して、心から感謝の想いが溢れました。私はその想いを原動力に今後も仲間と共に、このまちの未来が良くなるよう久喜青年会議所で挑戦していこうと決意しました。
このまちは今、大きな転換期を迎えています。デジタル化によって便利さは増した一方で、対面でのつながりや地域への関心は薄れつつあります。かつては近所同士が自然に挨拶を交わし、商店街には笑顔と感謝があふれていました。しかし、今は価値観の変化や生活スタイルの変化により、人と人との距離が遠のいています。そんな今だからこそ、私たちには「感謝の視点」が必要です。普段は当たり前に感じているきれいな公園、安全な道、あたたかな挨拶、先人たちが紡いできた歴史や文化、それらは多くの人の努力や思いやりによって作られております。感謝の視点をもつことで、まちは単なる場所ではなく、自分の暮らしを支える存在に変わります。このまちのおかげで自分の暮らしがあると気づくことで「さらにこのまちを良くしたい」という行動につながります。
まちづくりは私一人では出来ません。仲間と支え合い、信頼し合うことで大きな挑戦も可能になります。そして、感謝が生まれることで「もっと頑張ろう」「受けた恩を返そう」という想いも生まれ、その両者のつながりが相乗効果となって新たな挑む力となります。感謝はただの想いではなく、人と人とをつなげ、まちを強く支える力となります。私たちJAYCEEは、感謝の力と仲間との絆を信じて、まちの未来に挑戦し続けてまいります。
総務とは一般企業において、人事、総務、予算調整など多岐にわたって組織全体の円滑な運営を支える潤滑油の存在です。そしてそれは久喜青年会議所においても同様です。確りとした組織運営が無くては、久喜青年会議所が地域社会から信頼され、必要とされる存在にはなり得ません。引き続き、デジタル技術の積極導入といった時代の変化に合わせることが必要です。
まずは、AIを積極的に導入していきます。東京商工リサーチの「2025年生成AIに関するアンケート」調査ではAIを推進している企業は、大企業で43.3%、中小企業は23.4%となっており、中小企業の普及率は低い傾向にあります。AIを導入した企業は業務効率の向上や事務手続きの簡素化、競争力の強化が実現されており、導入の有無によって生産性に明確な差が生まれつつあります。また、久喜市においてもAI を活用した業務効率化を積極推進しております。青年会議所活動においても、議事録の自動化やチラシや動画作成、広報や財務面といった多くの分野において活用出来ます。総務広報委員会が率先してAI導入モデルをつくり、他委員会に展開することで、青年会議所の活動をより効率的・効果的に行えるだけでなく、各会員の社業にも役立てることが出来ます。
そして、久喜青年会議所の合言葉である「元気」を最大限に発揮した総会を行います。この「元気」は久喜青年会議所48年間の歴史の中で培ってきたブランドです。総会ではこれまでの事業や活動を通して、仲間に感謝する機会を設けてまいります。
さらに、本年も継続してブラッシュアップミーティングを行います。今年度からは、上程月は副委員長が必ず出席し、自ら事業説明を行う役割を担うことで、委員会内外での理解促進と当事者意識の向上を図ります。まちにインパクトを与えるにはどうしたらいいのかという観点から、単なる否定ではなく建設的な代替案を持ち寄る姿勢を重視します。こうした議論を重ねることで、議案の完成度が向上し、事業の質を高めてまいります。
また、久喜青年会議所は対外事業の出席率の低下が課題となっております。関東地区大会に多くの会員で出席することによって多くの学びを得て、今後の対外事業への出席率の向上を図ります。さらに、155LOMや各ブロック協議会の特色や考え方の違いに触れることで新たな発見を促し、会員個人の成長だけでなく、所属するLOMの成長の原動力となります。
48年間の歴史のある久喜青年会議所はこのまちに認知されているのでしょうか。残念ながら十分ではありません。私たちの活動が認知されていないということは、存在しないのと同じことを意味します。広報で重要なのは日々の積み重ねであり、一方的な発信ではなく、受け手の心に届き、共感を生む広報が不可欠です。青年会議所の活動内容や目的を地域にしっかり伝え、市民、行政、企業からの共感と信頼を得ることで、今後より地域を巻き込んだ事業を行うことが出来ます。つまり広報とは、単なる情報発信にとどまらず、地域の信頼と共感を築く入り口であり、地域に変化をもたらすための重要な手段です。
まずは、事業の前後でこのまちにどのような変化があったのかをわかりやすく伝えることが、共感の醸成につながると考えます。そして、メディア関係者と良好な関係を築き、取材や報道に繋げ、地域紙と連携した効果的な広報を行います。さらに、日々のSNSの投稿において、量よりも質にこだわり、シリーズ化されたショート動画を活用して青年会議所を広報してまいります。
何の理由もなく前年を踏襲することは停滞を招く要因です。私たちは常にこの地域をより良くするためにはどんな組織運営が良いのか、どのように広報することで共感を生むかを第一に考えます。変化を恐れず、多くの市民や企業から共感される組織こそが、地域に必要とされ、「感謝」を生み出す原動力となると私は信じています。
現代社会では、共働き世帯の増加や子どもの塾や習い事の多忙化、さらにスマートフォンやタブレットの普及により、家庭内でのふれあいが減少している傾向にあります。家庭は子どもにとって一番身近にふれる小さな社会であり、人格形成の土台となる極めて重要な場所です。しかし、家庭内のふれあいが不足すると、子どもが褒められる機会が減り、自信を持てず、不安な気持ちを抱えるようになります。失敗を恐れる気持ちが強まり、新しいことへの挑戦や前向きな姿勢が持ちにくくなってしまいます。結果として、自分を肯定する力や表現力が育たず、将来の人間関係や社会性に深刻な影響を与える可能性があります。
まずは、子どもが家庭内の大切な人とコミュニケーションを深める機会を創出します。普段の家庭や学校では体験できない環境で、子どもが大切な人に対して感謝を伝えることが重要です。感謝を伝える習慣がない子どもは、相手の思いや行動に関心を持ちにくく、自分の気持ちを適切に表現できないため、結果としてコミュニケーション能力が育ちにくくなります。感謝の気持ちを素直に言葉で表現できることは、子どもの成長において大切な要素です。そして家庭内のふれあいの不足解消には親の意識変化も必要です。子どもから感謝を伝えることで、家庭内のコミュニケーションを改善するきっかけづくりを行います。そして、感謝を伝えられる人は、周囲との関係が良好になり、自分を肯定する力や表現力が育まれます。
現代の子どもたちは、自分の能力や価値を信じる力が不足しています。しかし、新しいことに取り組んでいかなければ、人は成長することができません。自信を持てないままでいると、子どもは挑戦を恐れて成長できなく、ネガティブ思考になります。子どもに自信を与えるには集団での成功体験の積み重ねが非常に大切です。しかしながら、デジタルの普及により野外体験が減少し、子どもが集団での成功体験を得る機会が少なくなっています。そのため、私たちが意識的にそうした機会を創出する必要があります。
まずは、一人では難しいことでも、仲間と助け合えば達成できるという成功体験を得られる事業を実施します。そして、日常生活では得られない成功体験を通して子どもは、自分が成功できると信じるようになり、新たな挑戦にも積極的に取り組めるようになります。さらに、仲間と成功を分かち合う中で、自分の努力や成長を認められることで、子どもはポジティブな自己イメージを育んでいきます。また、それら成功体験は社会に出てからも自信となって、新たな挑戦へ踏み出す原動力に繋がっていきます。
こうした事業により、感謝を通して子どもたちは周囲と信頼関係を築き、仲間と協力しながら新たな挑戦ができるようになります。
このまちは、子育て世代にとっても暮らしやすく、歴史や文化、地域資源に恵まれています。活動の拠点である久喜市は、合併後はじめて人口増加に転じました。しかし一方で、このまちに無関心な人が少なくないという現状があります。久喜市の市民意識調査を見ると、近隣自治体に比べ回答率が低く、「まちづくりに参加したくない」と答える人も多く、このまちへの関心の低さがうかがえます。無関心は、地域への誇りや愛着を育みにくくし、市民同士のつながりを弱めます。その結果、防災や子育て、高齢者支援といった暮らしに直結する取り組みが進まず、まちの活力や将来の可能性を損なうことにつながります。だからこそ、無関心を関心へと変えていく取り組みが必要なのです。
まずは、市民がこのまちに対して「シビックプライド」を醸成する事業を行います。シビックプライドは、まちに住む人々の誇りや愛着から生まれるものであり、それは単なる便利さや物質的な満足によって得られるものではなく、自然や文化、歴史、イベントなどを実際に体験することによって育まれます。こうした体験を通して市民が「自分の知らなかった良さ」に気づくことが重要であり、その気づきがまちへの理解や関わりにつながり、やがて愛着を生みます。そして、この愛着がシビックプライドとして形を成すことで、「このまちをより良くしたい」という行動が自然と広がっていきます。
まちづくりの主役は、市民一人ひとりです。私たちが暮らすこのまちは、豊かな自然と交通の利便性を兼ね備えた可能性あふれる地域ですが、その未来を切り拓いていくのは、私たち自身の意識と行動に他なりません。現状では、コミュニティや協働への関心が十分とは言えず、まちづくりに対する当事者意識も薄いのが実情です。だからこそ、市民がそれぞれの立場や関心に応じて主体的に関わることが重要であり、小さな一歩からでも「自分たちのまちは自分たちでつくる」という意識が広がれば、やがて持続可能で活力あるまちづくりが実現していきます。
まずは、市民がそれぞれの想いや関心に応じて自由に関われる取り組みを進めてまいります。企画に携わることはもちろん、参加や体験を通して関わることも大切であり、その多様な関わり方が一人ひとりの関心を高め、喜びや達成感を共有するきっかけとなります。小さな参加からでも「自分たちのまちを自分たちでつくる」という当事者意識は育まれ、やがて主体性となって広がっていきます。その結果、活力あるまちづくりが実現していくのです。
これらのまちづくり事業により、シビックプライドを醸成し、このまちのために当事者意識をもって行動していく市民を増やしてまいります。
久喜青年会議所にとって最大の財産は、このまちの未来に挑戦し続ける会員一人ひとりです。その会員を多く迎え入れることはこのまちの発展や会員の成長にもつながります。また会員が多ければ、より規模が大きな事業を行うことが可能になります。一方で会員の減少は、LOMは衰退へとつながります。よって今年度は20名の拡大を目標に取り組んでまいります。
まずは、会員拡大委員会が率先して他委員会とコミュニケーションをとることが重要です。そして、積極的に委員会を訪問し、支援を行います。青年会議所は助け合いの精神のもと成り立っております。他委員会が人手を必要とする場面で積極的に支援することで、会員同士の間に「感謝」の気持ちが生まれます。そして、支援したことによって、助け合いの精神から拡大に協力したいという想いが生まれます。
さらに、拡大を行う上で会員が久喜青年会議所の魅力について熱意をもって話せることが重要です。久喜青年会議所の入会を勧められた時、活動内容や自分自身が入会して良かったことについて熱意をもって語れなければ、入会候補者の心は動きません。会員が過去に携わった例会や事業を自分自身のエピソードとして熱意を持って話してまいります。
また、入会候補者に対しては一方的に青年会議所の魅力を伝えるのではなく、「あなたのため」に行うという意識が重要です。まずは入会候補者の話を傾聴し、その人の課題や価値観についてヒアリングを行います。その後、その人の課題への解決手段や価値観にあったものとして久喜青年会議所を提案します。久喜青年会議所には多くの学びがあります。自分の体験に基づいた久喜青年会議所の魅力や伝え方を工夫することによって、入会した後のモチベーションにもつながり、質も担保することが可能だと考えます。
そして、入会候補者の情報の源泉である入会候補者リストを定期的に更新し、全体に共有することで、入会候補者の現在の進捗状況を見える化します。さらに拡大会議や積極的なオブザーバー交流会を実施いたします。拡大会議では現状の入会候補者情報や過去の成功事例の共有や目標に対しての進捗管理、新たな情報の引き上げなどを目的とします。
会員同士の「感謝」を拡大運動の礎とし、会員一丸となって必ず20名拡大を達成しよう。
私は久喜青年会議所に入会し、活動できて本当に良かったと胸を張って言えます。私がこのまちにいたのは小学生までであり、大人になって戻ってきた時には知り合いもほとんどいませんでした。また、就職してからは営業職しか経験がなく、日々数字を追いかけるばかりで、他者と一つの目的に向かって共に汗を流し、事業をつくりあげる経験は全くありませんでした。そんな私が久喜青年会議所に入会したのは、明確な目的があったわけではなく、ただ知人に誘われ、軽い好奇心から足を踏み入れたにすぎませんでした。
しかし、そこで待っていたのは仲間との出会いと学びでした。まちづくり活動を通して、世代も職業も価値観も異なる仲間たちと、議論を交わし、協力し合いながら事業を作り上げる。その過程は決して楽なものではなく、準備に追われ、投げ出したくなる瞬間もありました。けれども、その壁を仲間と共に乗り越えた時の達成感は、私の人生において何ものにも代えがたい経験となりました。私はつらい時も側にいてくれ、協力してくれた仲間に感謝しております。そして、今度は私がその恩に報いる番です。私が仲間の力になり、背中を押し、恩返しをしていくことが私の使命だと信じています。
久喜青年会議所の活動の中心にいるのは人であり、人を動かす本当の力が感謝です。誰かに必要とされていると感じる時に、挑戦する勇気が湧くからです。感謝された側も、相手のために恩返しをしようと、自分自身を奮い立たせ、それは何よりも強い挑む力となります。感謝の気持ちが溢れる組織は、挑戦を恐れず、どんな困難にも立ち向かう力を持つことが出来ます。ただ仲が良いだけではなく、仲間同士意見をぶつけ合い、お互いを尊重し、違いを乗り越えその先に感謝が生まれます。そこに仲間との信頼と絆が育まれてまいります。
久喜青年会議所の仲間たちへ、「感謝」~仲間とのつながりが挑む力となる~