POLICY SPEECH
理事長所信
第45代理事長
会田 篤
「未来のために毎日をより良く生きよう」。人間は日々そう願い、その希望を実現させるために進化してきました。未来を描く力。これは人間だけが唯一持っている能力であり、他のどんな高い知能を持つ動物であっても未来を想像することは出来ません。人が何かを成し遂げようとする時、その力の源となるのは理想とする未来の姿であり、その姿に一歩でも近づこうとする想いが、行動へと繋がっていくのです。
しかしながら、2020年より猛威を振るった新型コロナウイルスのもたらしたパンデミックは、人々の生活様式や仕事のスタイル、価値観に劇的な変化をもたらすと共に、この未来を描く力を大きく損なわせてしまったように思います。経済的ダメージを被っている方は、当面の生活を何とかする事しか考えられないことでしょう。また、前例のない事への判断を迫られる機会が急速に増え、何が正解かわからない、先が見えないという中で、未来を想像するのは容易なことではありません。
私達青年会議所もそれまで当たり前であった人を集めての事業や委員会活動が大きく制約され、企画をした事業の中止や規模縮小に涙をのんだことも一度や二度ではありません。しかしながら私達はそのような中においても、出来ない理由を探すのではなく、出来る方法を考え、新しい運動の仕方を模索してきました。それはなぜでしょうか。連綿と続いた青年会議所運動をここで火を消してしまうわけにはいかないという想いも勿論あるでしょう。しかし根本にあるのは、この地域に住み暮らす人達に希望を与え、顔を上げ前を向いて進む勇気を与えられるのは、私達若き青年経済人しかいないという誇りと気概からではないかと私は考えます。
「青年の友情を柱に、己を修練し、郷土地域社会の発展に向かって、果敢な勇気と情熱をもって実践し、足跡を残すべくここに久喜青年会議所の創立を宣言する」
志ある青年達がこの地域の未来を想い、久喜青年会議所が産声をあげてから本年で45周年を迎えます。その誕生以降、先人達が明るい豊かな社会の実現に向けて不断の努力を継続し、歴史を紡いで参りました。私達はこの45周年という節目の年にあたって、これまで運動を続けてこられた先輩諸兄姉に対して感謝を伝えるとともに、久喜青年会議所の運動に理解・協働し様々な面でご指導ご鞭撻を頂いた関係各位、行政機関、志を同じくする各地友好青年会議所との連携を更に強固なものにしていかなければなりません。なにより、45年間の長きに渡り脈々を受け継がれた久喜青年会議所の「魂」、つまりどんな困難にも挫けずに希望あふれる未来のため脳に汗をかき、常に元気を忘れずに、歩みをとめない行動力を次なる時世へと継承していく必要があります。
私達久喜青年会議所にとって、この45周年という節目の年を新たな出発地点と捉え、このまちに住み暮らす人達が明るい未来を描く事の出来る「希望あふれるまち」の実現に向けて運動を展開して参ります。
久喜青年会議所の「明るい豊かな社会」の実現に向けての歩みは本年度、創立45周年の大きな節目を迎えます。私達は先人達の努力に感謝するとともに、守るべきものを守り、変えるべきところは変え、未来へ向けた運動発信を行って参ります。世の中の動きが目まぐるしく、先が見えないと言われる時代だからこそ、私達青年会議所の会員が理想の未来をイメージし、このまちのビジョンを創り上げなければなりません。なぜなら、若き青年経済人である私達は、その描いた理想を実現できる仲間も想いも
持っているからです。ビジョンとは地域へ向けた私たちの想いであり、単なる予想ではなく本気で実現したいと思う未来への道標でなければなりません。その為に、まずは2017年に掲げたビジョン2022の検証を徹底的に行い、新たな指標であるビジョン2027を策定し、地域に向けて力強く発信をしていきます。
2022年は第52回埼玉ブロック大会久喜大会が開催される年となります。本大会は、過去の大会の在り方にとらわれず、この地域に住み暮らす人達や青年会議所会員全員が未来に理想のまちを描き、コロナ禍の停滞感を払拭するきっかけになるような大会を構築して参ります。そのひとつの切り口として、国の成長戦略として位置付けている未来社会「Society5.0」の実現のための機会とし、新しい技術やサービスを取り入れ、未来を先取りした事業内容を盛り込むことを視野に入れ取り組みます。新型コロナウイルスの収束が読めない中ではありますが、埼玉ブロック協議会と常に密な連携をとり、事業効果を最大限発揮できるよう臨機応変な舵取りをしていかなければなりません。主管を担う青年会議所として全員で覚悟を持って臨み、久喜青年会議所の会員同士の絆を更に深め、なにより地域の方々が未来に向けた明るい展望を抱いて頂けるようなインパクトを与えて参ります。
総務とは組織運営の基礎を成し、組織全体に関する職務全般を担うものとなります。私達久喜青年会議所においても、このような機能なくして質の高い運動を展開することは出来ません。本年度は作業や動作の無駄をなくすという意味合いの効率性もさることながら、目的を達成するための方向性が正しいかどうかという効果性も重要視し総務運営を行って参ります。
2020年の発生より依然続くコロナ禍は、副産物としてデジタル技術の発展と普及をもたらしました。まずは、こうした技術を積極的に取り入れ、事業の案内や出席管理、資料作成や保存などあらゆる面においてDX(デジタルトランスフォーメーション)を導入し効果性を向上させることが重要だと考えます。また、青年「会議所」という名称の通り、私達の行う事業の根幹は何らかの問題に対して議論を重ねる「会議」にあるといっても過言ではありません。良い事業は良い会議から生まれ、良い会議は良い議案書から生まれます。そのため、日本青年会議所本会のフォーマット等を基軸にしより見やすく事業効果を高める事の出来る議案書の策定が求められます。また、枝葉の議論に終始し事業目的の適切な設定やより良い事業内容にするための工夫やアイディアといった幹の議論が十分されていない理事会の現状に鑑み、理事会構成メンバー一人ひとりの意見や考えがより反映されやすい会議のスタイルを構築すべきと考えます。さらに、総務が行う基本的事項を網羅的にまとめたマニュアルを作成し日々の総務としての担いを凡事徹底していくとともに、形になるものを未来へと残す事で来年以降への引き継ぎを円滑にし更なる会務の効果性、効率性向上を狙います。
また、私達青年会議所の会員は、JC宣言に謳われるように「希望をもたらす変革の起点」として、社会の課題を解決し、持続可能な地域を創出するためのリーダーたる資質を身につける事が求められます。この人々の価値観が多様化し正解がひとつではない社会において、人の集合体である組織をまとめ、地域社会がよりよくなるためのインパクトを与えるために必要な能力として、「実行力」が挙げられると考えます。これからのリーダーに求められるのは、理想を掲げるだけでなく、その理想の姿に一歩でも近づけるために、頭と体を最大限使って「行動」する事ではないでしょうか。変化を恐れて、あるいは徒労に終わる事を危惧し、結局アクションを起こさないのは一見して賢明な選択肢なようですが、行動なきところに事態の好転はあり得ません。周りの人を巻き込み、個々の力を引き出す事により組織の持つポテンシャルを最大限に発揮し、目標達成を実行するために組織を牽引する事の出来るリーダーを育むべく事業を行って参ります。
さらに、コロナ禍と相まって近年会員の青年会議所運動へのモチベーションが低下してしまっている危機的状況を打破する必要があると考えます。そのため、アカデミー塾の運営を行い改めて青年会議所運動の意義を学ぶとともに、会員相互及び先輩諸兄姉の方々との縦、横の関係を密にすることで連帯感を高め、新たな事に自発的に挑戦しやすい風土作りに取り組んで参ります。
未来に明るい夢を描き、その実現の為に行動するためには心身の健康が必要不可欠です。健康はあって当たり前のように感じられるかもしれませんが、失ってしまってその大切さに気付いても容易に取り返す事は出来ません。この問題は老若男女あらゆる方に関係しているテーマであり、人々が健康でいるという事は地域の活力に大きく寄与するものと考えられます。
健康は一度や二度何か行動を起こしたからといって改善されるものではなく、継続的な取り組みが重要となります。誰もが気軽に楽しく取り組む事が出来、なおかつその後も継続する事が出来るような企画内容を構築し、単なる知識付与で留まらないインパクトのある事業が求められます。誰もが前向きで幸せに生活することの出来る地域を創出するべく、私達らしい柔軟な発想で地域の方々に活気を与えるべく事業を行って参ります。
2015年に国連サミットでSDGsが採択されてから来年で7年目となり、目標達成に掲げた2030年まで、間もなく折り返し地点になろうとしております。現在大企業などでは実際にSDGsを企業活動の一環として実践していたり、学校でも授業内容に取り入れたりと少しずつ世の中に普及をしております。しかし、最新の国連の調査結果によると、世界的には現状のままでは2030年の目標達成は多くの項目で難しいという報告があります。日本は先進諸外国の中で達成度のスコアが比較的上位にランクインしておりますが、前述の通り限られた大企業が実践しているというのが現状です。問題なのは、SDGsを「聞いた事がある」という人と「可能なら実践したい」という人の割合が右肩上がりに増えているのに対して、「取り組みをしている」という人の割合が横ばいである事です。つまり、知ってはいるが何をやっていいか分からないという人が多い事が普及が広がらない要因であると考えられます。そのため、今一度SDGsの理念を再認識し、我々の活動地域でのSDGsに取り組んでいる企業や団体、行政などと連携し、広く地域市民の方々に「自分達にも実践できる事はこんなにたくさんあるんだ」という未来へ向けた当事者意識を持って頂くべく事業を行って参ります。
金融庁が行った調査結果によると、日本は他の先進諸外国と比較して、投資信託や株式の運用といった「金融リテラシー」が低い傾向にあり、教育現場や家庭でもこのようなお金にまつわる話は敬遠されがちです。しかし、老後2000万円問題や人生100年時代などという言葉に象徴されるように、子ども達がこれからの未来を生きる上でこうしたお金に関する問題から目を逸らす事は出来ません。本年度は子ども達にとって身近でありながらも普段深く考える機会が少ない「お金」について焦点を当てた事業を行います。とはいえ、むやみに投資や株式といった断片的な知識付与を行うのではなく、お金の貯め方、増やし方、使い方といった根本的な理解が重要と考えます。そのため、子ども達の身近な問題としてより実践的な体験学習を通じて自分で考える機会を設け、お金というものに興味を抱いてもらい、子ども達が未来に向けてより幸せな人生を描ける様にしていきたいと考えます。また同時に、生きる上で仕事をするという事とは切っても切り離せないという想いから、働く意義や、働いてくれている方々への感謝の気持ちを抱いてもらう機会を創出して参ります。
内閣府が2018年に実施した「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」という調査によれば、日本の子どもは他の先進諸外国の同世代と比較して著しく自己肯定感が低く、自分には価値がない、自分自身に満足していないという子どもがとても多い現状があります。何かを変えるには行動をしなければなりませんが、その行動力の源泉となるのは自分自身への自信です。ではどうすれば自己肯定感を高め、自分に自信を持つことが出来るでしょうか。それには子どもが自分自身の良いところ、長所に気づき、確り認識することが大切になります。自分の強みを認識することが出来れば、それを更に伸ばそうと行動しますし、行動によって生み出される成功体験は、物怖じせず物事に挑戦し未来を切り拓く力の醸成に繋がります。若くて発想が柔軟かつ行動力ある我々だからこそ実行出来る体験的事業を通じ、子ども達が家庭や学校生活では味わえないような経験を通じて自己
肯定感の醸成を狙います。また事業効果の最大化のために、会員である私達大人が手本となる背中を見せることが出来ているのか自問する必要があると考えます。青少年事業において中心となるのは勿論参加して頂く子ども達ですが、我々会員も単なる手伝いに留まらず主体的に子ども達と関わる事で互いに成長する事が出来るのではないでしょうか。子ども達が未来に希望を持ち、前向きに生きる力を持てるよう事業に取り組んで参ります。
青年会議所は人の集まりであり、一人ひとりの会員がこの組織の根幹となっています。私達の運動がこれからもこの地域に良いインパクトを与え続けるためには、新たな仲間を迎え入れるための行動と、継続的な情報発信が必要不可欠です。
会員拡大において、100%成功する絶対的な手法はありません。しかし、成功の可能性を高める方法があるのも事実であります。まず、会員拡大をメンバーの意識に定着化させる「拡大マインド」の醸成が重要と考えます。そのため、会員の拡大へのモチベーションを向上させ、会員の意識を拡大運動へ向かせるような取り組みが必要です。また、早い段階でのオブザーバーのリストアップをしていかなければ、具体的な行動に移る事は出来ません。現役メンバーは勿論、新しい繋がりを持っている入会したばかりの会員や卒業された先輩達へヒアリングを行い常に最新情報への更新をし、計画を立て、戦略的に活動を行う事が重要となります。中でも、先輩達との連携を密にし、現役メンバーへオブザーバー情報を提供して頂きやすい協力関係を構築していく事は拡大運動を行う上で大切な基盤となります。そして、「久喜青年会議所はどんなところか」を統一した文言でオブザーバーに説明できるよう、会としての統一表現を策定していく事が、会員全員で拡大運動を行うために重要と考えます。さらに、各人の会員拡大への取り組み度合いを可視化し、定期的に評価、表彰する制度を導入し、運動へのモチベーションアップと会員間の拡大意識の向上を図ります。このような取り組みにより会員一人ひとりが覚悟を持って拡大運動に向き合い、2022年度は20名の会員拡大を達成するべく行動していきましょう。
また、会員拡大と広報活動は相互に関連しており情報発信力の向上はオブザーバーの方々へ私達の活動内容を知り、関心を持って頂く事へ繋がります。広報に関し久喜青年会議所は近年様々な切り口で例会事業を行っており、すでに十分な知識は蓄積できていると考えられます。今後更なる高みを目指すためには、新しい知識を学ぶ事もトレンドにアンテナをはる事も重要ですが、闇雲に新しい手法を取り入れようとするのではなく、まずは近年の事業内容や広報担当委員会の経験を集約、整理、分析し、久喜青年会議所としての方法論を確立すべきと考えます。そして、広報活動を「実行」することに徹底的にこだわり、各委員会の広報幹事と連携して情報の収集を行い私達の日々の運動をコンスタントに発信していかなければなりません。単なる事業の告知や報告に留まらずに、一定の質を担保した情報を受け手が飽きないような様々な切り口で届ける事が重要となります。また発信する内容として久喜青年会議所の情報のみならず、行政機関からの案内や、地域の諸団体や民間企業が企画したイベント、街角の景色など広くこの地域に興味を持ってもらえるような情報を積極的に発信する事で横のつながりを強化し、久喜青年会議所の知名度を向上させていきます。会員拡大と広報活動の相乗効果によって、私達の運動エネルギーの更なる向上を目指して参りましょう。
人が思い描くことは実現する。
私はそう信じています。
世界で初めて有人人力飛行に成功したライト兄弟。
彼らが設計したライトフライヤー号を忠実に復元し、現代の科学をもって飛行実験が行われました。
結果どうやってもライトフライヤー号は飛ばなかったそうです。では、ライト兄弟の飛行記録はうそなのかというと、確かな記録として残っています。
彼らはなぜ飛べたのでしょうか、簡単な事で、飛べると強く思い込んでいたから。そして、飛べるまで行動し続けたからです。その力が、現代の科学をも凌駕し、誰もが出来るはずがないと思っていた偉業を達成させたのです。
青年会議所は、夢を語る場所であってほしい。
どんな途方もないような事業であっても、それがこのまちのためになると信じているのなら、確りと覚悟を持って取り組むべきだと私は思います。
そして、思い描いたその未来は必ず実現します。
青年会議所は40歳で卒業しなければならないという独特の仕組みがあります。
成長が約束されている団体と良く言われますが、それは成長を望む場合には、という前提があってこそ。なにもしなければ、何も得られません。その当たり前の事を、卒業後に気づいて後悔してほしくはないのです。
地域の未来を、そして自分自身の理想を描き、一歩でも近づけるよう共に進んでいきましょう。
そして、どうせやるなら楽しんでやりましょう。
油まみれになりながら夢中で機械をいじったライト兄弟のように。