一般社団法人 久喜青年会議所

POLICY SPEECH

理事長所信

第47代理事長

大塚 直紀

はじめに

「あなたは何のために青年会議所に入会したのですか。」
このような質問をされたなら、あなたならどう答えますか。
地域活性のため、自己成長のため、人やビジネスの繋がりを作るためなど、人それぞれ答えは違うはずです。当時、 私はビジネスでの繋がりを作る目的で入会を決めました。しかし、日々の青年会議所活動を通して地域の課題を知り、仲間と共に活動する時間が多くなるにつれ、仲間の課題や、地域のために何ができるのかを考えるようになりました。
このように他者を想いやる心とは利他の精神であり、誰かのために自分なら何ができるのかを考える「想いやり」の心こそが、青年会議所活動の原動力そのものです。私たちの活動は、「想いやり」をもって、このまちが持続的に発展するための課題を見つけ、そこに暮らす人々も巻き込みながら市民の意識変革を行っていくことが求められます。
現在、私たちの活動地域には、人口減少や少子高齢社会に関連する課題をはじめ、安心して子育てができる経済基盤の確保など、多様化していく社会に対応するための多くの課題が残っています。だからこそ、私たち久喜青年会議所は、まちづくりの主体者として、様々な視点から物事を捉え、新たな視点から課題を見つめ直し、このまちに対して私たちができることは何かを考え、挑戦していかなければなりません。
また、人々が安心して暮らせるまちを創るためには、地域の重要な基盤となっているコミュニティの維持・形成に積極的に取り組まなければなりません。そのためには、私たちだけでなく市民一人ひとりにこのまちの課題を認知してもらい、自分の住むまちに興味を持ち、互いに助け合うための「想いやり」の気持ちを育むことで、誰もが認め合い生き生きと人生を送ることが出来る共生社会を実現していく必要があります。
多様化する社会に対しては、私たち自身も、組織としての進化を推し進めていく必要があります。昨今の久喜青年会議所では、会員一人ひとりの価値観の違いや目的の違いから仲間意識の希薄化が見られます。あなたは、事業を行うにあたってどこか「他人事」として捉えていないでしょうか。一人ひとりが当事者として自覚を持って青年会議所活動を出来ているでしょうか。仲間のために自分なら何ができるかを「自分事」として協力していく「想いやり」が今、必要とされています。仲間意識を醸成する事で、地域をより良くするために切磋琢磨し、大きな課題にも挑戦できる組織に進化することができます。そして、大きな目標に向かって挑戦する取り組みこそが、会員一人ひとりを成長させ、人生をより豊かにすると私は確信しています。
私たち久喜青年会議所は、このまちに対して、様々な事業を46年間に渡って展開し続けてまいりました。事業を行う中で、私たちは先輩諸兄姉より受け継がれてきた伝統や文化を大切にしながらも新たな視点を取り入れてブラッシュアップしながら発信してきました。その中の一つとして、久喜青年会議所では、青年としての「元気」をアイデンティティーとしてまちにインパクトを与え、世代を超えて仲間意識を育んできた歴史があります。
私は低迷する時代であるからこそ、この「元気」こそが「想いやり」とともに時代の変革に必要な力であると信じています。
2024年度は、このまちとこの地域に住む人々、そして仲間のために「元気」と「想いやり」を持って挑戦してまいりましょう!

想いやりのある組織づくり

 あなたは、青年会議所活動をする中で、現在使われている規則や運営方法で疑問に思ったことはありませんか。 
 多様化する社会に対応するためには、変化を積極的に取り入れる一方で、規則や運営方法を明確にしていくことが不可欠です。今ある規則や運営上のルールを見直し、それらを明確にしたマニュアルを作り、会員に周知し、運用していくことが必要です。誰もがマニュアル化した規則やルールを把握できるようにすることで、回り道をせずに解決できる様になれば、議案の構築や仲間との時間をより「想いやり」をもって有効活用することができます。
そして、私たちの活動の起点ともなっている様々な会議について、質を担保しつつ、効率的に運用していく必要があります。効率よい有意義な会議を実施することは、参加者のモチベーションや事業の成功そのものにも繋がります。参加しやすい環境づくりの一環として、オンライン会議については、マニュアルに則ったやり方で、参加者への気配りを忘れない「想いやり」を持った会議を実施します。
2023年度より行っている委員会の委員長がチームメンバーとして参加し企画を議論するブラッシュアップミーティングを本年度も実施します。本年度は、議案内容の議論だけでなく、財務やコンプライアンスに関しても徹底的に精査を行うことで、コンプライアンスを強化していきます。
組織としてのコンプライアンスを強化するためには、権限者による承認や検証など、適切な手続きを整えていく必要があります。そのために、コンプライアンスシートを活用する事で、会員が一定の基準を保ちながらより精度の高い議案を作成し、理事会の効率化を図っていきます。
また、会の意識決定の場である年3回の総会では、設えに対しても工夫を凝らす挑戦をしてまいります。ただ単に、形式的な総会をするのではなく、会員が思わず参加したくなるような総会を開催していきます。
また、青年会議所は地域のリーダーを育成する団体です。この地域が良くなる為には、時代にあった変化をしていかなければなりません。そのためには、地域を想い率先して行動を起こす人材が必要です。青年会議所から地域に想いやりを持って、失敗を恐れず挑戦する事が出来るリーダーを育成しなければなりません。
 人それぞれリーダー像は違いますが、リーダーとして共通している事は、自らの想いを計画的に実行出来る力と、他者を巻き込みながら率先して行動することの出来る人材なのです。しかしながら、リーダーシップを育成する事は簡単なことではありません。失敗と成功を繰り返しながら身に着けていくものであり、リーダーシップを醸成した先には、社会的に成功し、その結果地域にインパクトを与え、「想いやり」を持って地域を変える事が出来るリーダーが生まれるのです。
組織づくり委員会として誰よりも仲間のために「想いやり」をもって、変化を恐れない組織づくりに挑戦していこう!

想いやりを創るまちづくり

 あなたは、この地域の問題をどのように考えていますか。
我が国では本格的な少子高齢化社会を迎え、各地域においても、これに伴う地域経済規模の縮小や人口の流出など多くの問題を抱えています。私たちの地域も例外ではありません。一方で、近年各地の地方公共団体では、このような本格的な少子高齢化社会の進展を交流人口の拡大を考える絶好の機会と捉え、交流人口の拡大に取り組むことによって地域社会を活性化させる動きが急速に進められています。その中でも特に、体験型交流を促進することによる交流人口を増やす試みは、地域社会の活力を維持する事例として全国的にも注目を集めています。
このような取り組みの成功の大きな要因には、地域全体がまちや相手への「想い」を基礎に活動をしていることにあります。「想いやり」を基礎として交流人口を拡大するための取り組みを進めることは、交流活動を支えるコミュニティの形成に繋がります。そして、活性化された地域コミュニティ活動によって地域の魅力が発信され、個性ある地域の形成がなされます。
私たちの地域は、鉄道の便の良さや高速道路網の利便性の高さから都心に勤める会社員のベッドタウンとして栄え、人気アニメの「聖地巡礼」現象が見られるなど、多くの魅力を持った地域だと言えます。この地域に末永く住んでもらうためには、元々このまちに住んでいた人々だけでなく、他の地域から移り住んだ人々にも、他の地域に「自慢できる魅力」があることを知ってもらう必要があります。まちの「自慢できる魅力」を知ってもらうことで、地域に対する愛情・誇りを高めることができ、他の地域に移住や転出してしまう住民の数を減少させることが可能となります。このように市民一人ひとりにまちの魅力に気付いてもらうことで当事者意識が生まれ、市民主体のまちづくりを行うことから地域社会の活性化に繋がっていきます。
地域コミュニティを通じた活動を行うことで、まちづくりの主体者であるという事を認識し、地域の魅力や課題に触れることで、どのようにしたらこの地域が活性化するのかを自らが考え、行動出来るようにならなければなりません。
他者を想いやり、助け合い、認め合う事が出来る共通点を持ったコミュニティを形成し、地域課題の解決に向けた市民主体の事業構築を行ってまいります。
この地域に住む人達のために、「想いやり」を持って地域活性化を行っていこう!

想いやりこそがキズナとなる

 あなたはなぜ会員拡大を行っているのでしょうか。
目標人数を達成するためや、言われたから仕方なくやっているなど、目先の事に捉われてしまい本来の目的を忘れてしまっている方もいるかもしれません。会員拡大は青年会議所が発足してより永遠の課題であり、最も重きを置かなければならない運動のひとつです。なぜならば、青年会議所の本質は「人」に成長と発展の機会を提供することでリーダーへと育成する事であり、そんなリーダーが増えるという事は地域に与えるインパクトが無限に広がることを意味するからです。
まずは、入会候補者の方が久喜青年会議所に関心を抱いてもらうような事業を行い、入会への意欲を高めていきます。また、「想いやり」を第一に考えた拡大マニュアルの作成を致します。このマニュアルは、入会候補者が入会して卒業するまでにどのような成長をする事が出来るのか確りとしたビジョンを提示するものであり、久喜青年会議所に共感した上で入会してもらうことを目的とします。
本年は会員拡大の目標人数を20名とし、この目標を必達させるためには、会員全員で拡大活動に挑戦していかなければなりません。「誰かがやるだろう」ではなく「自分がやるんだ」という想いを持ち、各委員会やじゃがいもクラブ、例会などあらゆる事業を会員拡大のチャンスとして捉え、積極的に声掛けを行い、拡大活動を行っていきます。しかし、会員拡大は入会して終わりではありません。入会した方が少しでも早く久喜青年会議所に馴染めるように、入会者毎の担当者を決め入会後のフォローをできる仕組みを作り、会員同士の交流を図ります。また、青年会議所活動には家族の理解が必要不可欠です。会員だけの交流のみならず、入会した方の家族にも久喜青年会議所の雰囲気や会員の人柄を理解して頂く事で、退会の抑制に繋げていきます。
さらに、埼玉ブロック大会等を会員拡大のツールとして活用します。LOMにはないスケールの事業を体感してもらうと共に、他のLOMメンバーとの交流を通じて、青年会議所活動のメリットを実感してもらうことで入会に導いてまいります。
また、昨年から行って来た「#元気プロジェクト」は、地域に対して久喜青年会議所の知名度を高めてまいりました。ですが、ブランド化を行う為には、単年度で終わらせるのでなく、継続して行っていく必要があります。
まずは、久喜青年会議所が発信する情報すべてを「#元気プロジェクト」として定義づけをし、月15回以上の投稿をすることで地域への情報発信を行ってまいります。地域に対して久喜青年会議所の認知度を向上させるためと共に、青年会議所の活動をSNSで発信することで、多くの市民に青年会議所の活動を知っていただき、一緒に活動したいと共感してくれる入会候補者を見つけ出すツールとしても活用していきます。
あらゆる情報を地域に発信すると共に、「想いやり」を持って会員全員で会員拡大を行っていこう!!   

 

想いやりを育む青少年育成

 あなたは、子ども達にどのような大人になってもらいたいですか。

 子どもの頃の経験は、その子が大人になった時の性格や行動に大きな影響を与えます。だからこそ、子ども達には、誰にでも平等に接することができ、他者の為に自ら行動できるようになる経験が必要なのです。他者に「想いやり」を持って接する事が出来るようになることが、子ども達の将来にとって大変重要なことなのです。

そして、学研総合研究所が行った調査によると、思いやりのある子になってほしいという回答が最も多かったそうです。

子どもは親の背中を見て育つと言う様に、子ども達に「想いやりのある子」になってもらうためには、我々大人達が「想いやり」を持って子ども達に接しなければなりません。また、久喜青年会議所活動エリアの教育振興計画によると、少子化や核家族化により、子ども達にとって人間関係を築くことが難しくなっている現状があります。親子の接触時間や近所付き合いは希薄化し、親以外の大人と出会う機会に乏しい環境にあります。だからこそ子ども達と真に向き合い本音で語り合える関係を構築しなければなりません。

まずは、子ども達の人間関係を構築するために、様々な状況下で相手を知り、互いに助け合いながら困難を乗り越えていく必要があります。簡単に必要な情報や物が手に入る便利さに頼るのではなく、共に困難に立ち向かい、仲間のために何ができるか、何をしなければいけないのかを考えようとする「想いやり」の心が仲間意識を醸成することに繋がるのです。困難な状況下での仲間意識こそが人間関係の構築に繋がり、子ども達の人生の糧になるのです。

 また、子ども達が成長する為には、様々なことに挑戦し、成功体験を積み重ねることと、挑戦する過程で、仲間に「想いやり」を持ち、自己有用感を育む必要があります。自己有用感とは、自分が誰かの役に立っていると思う感覚であり、自己有用感を高める事が他者への「想いやり」に繋がるのです。

子どもの頃に様々な挑戦をし、仲間との友情や、挑戦の過程で立ちはだかる壁を乗り越え、自らの夢を諦めない心を創出するような事業を行う事で、この地域の未来の宝物になる子ども達が逞しく育つ環境を構築しなければなりません。

我々が子ども達の手本となり、このまちの将来を担う子ども達に対して「想いやり」をもって接する事が、自らの成長になるのです。この地域に住む子ども達に「想いやり」を持って接していこう!

夢我夢中にブランド化を求める広報

久喜青年会議所は45年間地域の課題解決に向け、地域市民向け、また青少年に向けて様々な事業を展開し、地域に貢献してきました。それを広報として圧倒的な量かつ高い質を求めた情報発信をしており、SNSのフォロアー数に現れる通り久喜青年会議所を知る市民も増えています。しかしながら久喜青年会議所がどんな団体でどんな活動をしているのか未だ理解いただいていない現状があります。だからこそ久喜青年会議所が「元気」を合言葉に地域にインパクトを与える団体であることをブランド化し周知する必要があります。


久喜青年会議所と言えば「元気」、久喜青年会議所の会員の活発さとこの地域の元気を見つけ出し、発信する「#元気プロジェクト」として事業を通して広めていく活動を行います。既存のツールに捉われることなく、リアル×WEBを駆使したブランド化に向けた戦略を立て実行に移して参ります。特に久喜青年会議所をより多くの市民に知っていただく為に年間通して地域の目に触れる機会を創出します。時代に合った広報として時に最先端技術を組み合わせる等、新たな目線で広報に取り組んで参ります。


また、本年もFacebook、Instagram、YouTubeを活用して情報発信致します。また、新たなツール活用も視野に入れたいと考えます。時には地域の別団体、行政、個人と手を取り合い、協働で市民の方々が目を引く情報や愛される情報を届けます。その結果としてSNSのフォロアー数を対前年比で200%増、そこからリンクで飛んでくるホームページの閲覧数を前年比で120%増を目指します。これを達成することで久喜青年会議所がまちづくりで地域にインパクトを与える団体としての認知度向上と事業の集客に向けた情報発信、また地域の新鮮な情報をより多くの市民の方々に知ってもらうことが出来ます。久喜青年会議所から発信される魅力的な情報で市民がこのまちをもっと好きになる様、事業を構築して参ります。


さらに本年は新たな試みとして広報発信に向けた地域部会を設置します。私たちの活動エリアは各地域に多彩な魅力を持っています。それはその土地、伝統、モノ、住まう人と様々です。時期を逃すことなく各地域の魅力を地元から最大限に発信することで魅力を知ってもらい、地域毎に刺激しあいながら相乗効果を生み出してより発信力を高めて参ります。
ブランド化戦略を実践する中で、会員がこの地域をもっと好きになり、また久喜青年会議所で活動することが誇らしく思う、夢我夢中になれる広報を展開して参ります。

おわりに

 2014年に久喜青年会議所の門を叩いてから、たくさんの人と出会い、共に同じ時間を過ごしてきました。入会した翌年に配属された夢育む青少年育成委員会。普段 パソコンを使う事がほとんどなかった私にいつも委員長や副委員長が隣に座り、優しく手を差し伸べてくれたのを鮮明に覚えています。あえて苦手な作業を指示された理由が当時の私にはわかりませんでしたが、今思えばできないことに挑戦させることで、私の成長を願う「想いやり」だったと確信しています。
相手ができない事を代わりにやってあげる事は必ずしも「想いやり」ではありません。相手の成長を想い、挑戦の手助けをしてあげることが真の「想いやり」なのです。
ホームランを打てるようになったからバッターボックスに立つのではなく、バッターボックスに立ち続けるからホームランが打てるのです。青年会議所は成功と失敗を繰り返しながら成長をする団体です。そのためには挑戦をし続けなければなりません。
我々が困難を恐れず挑戦し続ければ、必ずこのまちが良くなりますし、私達が流した汗は、必ずや自身の成長へのエネルギーとなっていきます。
「想いやり」を胸に抱き、仲間を信じて我々の地域のために挑戦して行こう!